スギ花粉症に対する舌下免疫療法について
スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、薬剤や焼灼手術などの対症療法と違い、根本的な治療方法です。抗原を長期に継続して投与し、身体が抗原に対して反応しなくなるように体質改善を行うものです。
この治療の初回開始時期ですが、
スギ花粉が飛散している時期には治療の開始はできません。
6月以降であれば開始できます。
(なお、治療をすでに始めている方は、花粉飛散時期も継続治療可能です)。
- 対象
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スギ花粉に対するアレルギーが確定していることが前提になります。
また、ほこりやダニなど他の抗原への効果を期待しての治療ではありません。
- 投与方法
(従来は液体でしたが、錠剤に変更されました) 1日1回、舌下に薬を置き、1分間保持したあと飲み込みます。
(投与前後2時間は入浴、運動、アルコールは避けてください。)
初回投与時に限っては、自宅ではなく医院で投与し、30分は医院で経過をみる必要があります。
最初の1週間と8日目以降で錠剤が異なります。8日目からは維持量になります。それを毎日服用し、最低2~3年間は継続する必要があります。
- 効果
効果は70%弱で有効といわれています。
(効果はすぐにはあらわれないこともありますし、長期間投与したとしても全ての人に有効とは限りません。)
来年の花粉症の時期に少しでも効果を期待するなら、飛散時期直前に開始するよりは、早めに開始する方がいいように思います。
- 副作用
副作用は、アナフィラキシー(ショック)が最も問題になりますが、頻度は少ないといわれています。他に、喘息発作、口腔の掻痒感、粘膜腫脹、潰瘍、耳のかゆみ、頭痛などがあります。 初回投与時、増量時、花粉飛散時期には特に注意が必要です。
- 治療の適応外
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- 5歳未満の小児
- 開始時に妊娠中の方
- 重度の喘息
- 高血圧、狭心症、不整脈の薬の中で、βブロッカーという種類の薬を服用中
- 悪性腫瘍治療中、膠原病、免疫不全、重度心疾患など
- 全身ステロイド薬連用中や抗癌剤使用中
- 開始時の急性感染症や口腔に異常があるとき
残念ながら、これらの方にこの治療をうけていただくことはできません。
以上の点をご了解のうえ、治療を検討していただきますようお願いします。
なお、ご不明の点がありましたら、ご相談ください。
また、医院には舌下免疫療法についての簡単な小冊子も置いていますので、ご利用ください。